酒総研時代に育種にかかわった、老香が生成しにくい吟醸酵母Ka8株の拡大培養がはじまります

老香をつくりにくい吟醸酵母のKa8株の拡大培養が令和8年2月2日(月)から開始されます。これまでスラントでの提供のみで自分で培養することが必須でしたが、拡大培養酵母を購入すれば、酵母培養設備を持たない蔵でも容易に使用できます。

この酵母は吟醸酵母としてだけ評価してもよい酵母ですが、単にコンテストで有利なだけでなく、しぼった時が品質のピークであとは劣化(だから劣化対策)というイメージの吟醸酒の概念を変える可能性があります:吟醸酒にも熟成を加味できる可能性を秘めています。

この酵母の育種は、老香とはどんな成分か、その成分はどのようなメカニズムで生成されるのか、関連遺伝子の同定や遺伝子破壊株での実証といった基礎的な研究をもとに、変異株を取得する戦略をたてて取得、研究室レベルの製造試験、小規模製造設備での製造試験、実際の酒蔵での製造試験、多くの酒蔵の協力による製造試験を経て実用化という、基礎と応用を行き来しながら実用株を得て、世の中を少しよくするという実用研究の醍醐味がつまっています。
https://www.jozo.or.jp/yeast_topics/吟醸酒用老香前駆体低生産性酵母ka8の拡大培養開
https://www.jozo.or.jp/yeast/清酒用mde-d1
https://www.nrib.go.jp/data/kouen/pdf/61kou02.pdf